カナル型イヤホンは、音漏れしにくく低音も出しやすい反面、装着感でつまずく人が多いジャンルです。耳が痛い、すぐ落ちる、奥まで入れると圧迫感がつらい。こうした悩みは、イヤホン本体よりもイヤーピースを変えるだけで驚くほど改善することがあります。素材が変わると、フィット感だけでなく遮音性や音の聴こえ方まで変わるからです。
結論
装着感で悩んでいる人が最初に試す価値が高いのは、熱可塑性素材のイヤーピースです。体温で少しずつ馴染み、耳の形に合わせて密着していくので、圧迫感のストレスが減りやすいからです。さらにどうしても合わない人や、最初からベストなフィットを狙う人は、番外編のオーダーメイドイヤーピース(eA-R)が最終手段になります。
装着感はなぜ難しいのか
カナル型の装着感は、結局のところ密閉と圧迫感のバランスです。密閉が甘いと低音が抜けたり落ちやすくなり、密閉を作ろうとしてサイズを大きくすると今度は痛くなる。しかも耳穴は人によって形が違ううえ、顎を動かすだけでも微妙に形が変わるので、同じイヤホンでも「最初は良いのに途中からズレる」「長時間で痛くなる」が起きやすいです。
イヤーピース素材を比較する
ここからは、代表的な素材であるシリコン、医療用シリコン、液状シリコン、ウレタンフォーム、そして本命の熱可塑性素材を、装着感の観点で整理します。
素材別の印象まとめ
| 素材 | 装着感の傾向 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| シリコン | 標準的で扱いやすい | まず基準を作りたい人 | 合わないと落ちる・密閉しにくい |
| 医療用/液状シリコン | 肌当たりが良く安定しやすい | シリコンの快適性を上げたい人 | 製品によって価格が上がる |
| ウレタンフォーム | 低反発で優しく密着 | 遮音性とフィット感重視 | 消耗が早い、手入れに注意 |
| 熱可塑性素材 | 体温で馴染んで密着 | 装着感に悩む人全般 | 慣れるまで異物感が出ることも |
素材ごとの装着感レビュー
シリコン:結局いちばん無難だが、相性が悪いと限界がある
シリコンは付属品でもよくある定番素材で、軽くて扱いやすく、水洗いもしやすいので管理が楽です。音のバランスも崩れにくく、まず基準を作るにはちょうどいいです。
ただ、耳の形と合わないと密閉が作れず、低音が抜けたり落ちやすくなります。サイズを上げて密閉を作ろうとすると、今度は圧迫感が強くなって痛くなる。シリコンは万能に見えて、合わない人にはいつまで経っても合わない素材です。
医療用シリコン・液状シリコン:シリコンの快適性を上げた“上位互換”
医療用や液状シリコン系は、触った瞬間の肌当たりが良く、シリコンの中でも装着感がワンランク上です。長時間つけてもストレスが少なく、汗をかく季節でも不快感が出にくい印象があります。
シリコンの扱いやすさをそのままに、装着感だけ底上げしたい人にはかなり相性が良いです。唯一の難点は、普通のシリコンより価格が上がりやすい点です。
ウレタンフォーム:優しいフィット感と遮音性は強いが、寿命と手入れは割り切り
ウレタンフォームは、つぶして入れて戻る力で密閉を作るので、フィット感が作りやすいです。遮音性も高く、電車や雑音のある環境で使うと効果が分かりやすいです。
ただし消耗が早く、清潔さの維持が難しいのがネックです。汗や皮脂が付きやすく、シリコンほど気軽に洗えないので、交換前提で考えた方が気楽です。装着感は良くても、コスパと管理の面で人を選びます。
熱可塑性素材:装着感で悩む人にとっての“最適解”
熱可塑性素材のイヤーピースは、最初は正直クセがあります。実際に使ってみると、馴染むまでの間は異物感がかなり強いです。ですが、私の場合は30分から1時間ほどで耳の形に馴染みました。
そこからは世界が変わります。シリコン素材にはない圧倒的な装着感があり、耳の形に合わせてイヤーピースが変形しているので、長時間つけても痛くなりにくいです。イヤホンの装着感に悩んでいる人なら、一度は試した方がいいと断言できます。
難点は価格で、一般的なイヤーピースより高いです。ただ、だいたい3000円前後で買えることが多く、イヤホンの装着感でストレスを抱えているなら十分に投資する価値があります。

熱可塑性イヤーピースについてはこちらの記事で詳しくレビューしています!
【レビュー】熱可塑性イヤーピースとは?耳にフィットして疲れにくいAzlaイヤーピースを実体験レビュー
サイズ選びと装着の基本だけで改善することもある
素材を変える前に、サイズが合っていないだけで装着感が崩れているケースも多いです。ゆるいなら一つ上、きついなら一つ下を試す。左右で耳穴が違うなら左右でサイズを変える。これだけで落ちにくさや圧迫感が大きく改善します。
装着時は、奥に押し込むよりも、耳に入れたあと軽く角度を調整して密閉ポイントを探すほうが失敗しにくいです。
番外編:最終到達点はオーダーメイドイヤーピース eA-R(エアラ)
市販のイヤーピースを一通り試しても合わない人は、耳の形そのものに原因があることもあります。その場合、発想を変えて耳型を取って作るオーダーメイドが強いです。
eA-Rは、耳型に合わせて作るタイプなので、うまくハマれば装着感と遮音性を同時に満たせます。価格も手間もかかりますが、装着感の悩みを根本から解決したいなら検討価値があります。
まとめ
カナル型イヤホンの装着感は、イヤーピース素材で大きく変わります。まずはサイズと装着の基本を整えたうえで、装着感に悩むなら最有力は熱可塑性素材です。馴染むまでに少し時間はかかりますが、ハマったときの快適さは別格です。さらに突き詰めたい人は、eA-Rのようなオーダーメイドまで視野に入れると、長期的な満足度が上がります。
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