はじめに
イヤホンやヘッドホン選びで「ノイズキャンセリング」という言葉を見かけることが多くなりました。その中でも特に注目されているのが「ANC(アクティブノイズキャンセリング)」です。しかし、ノイズキャンセリングにはもう一つ、「PNC(パッシブノイズキャンセリング)」という方式も存在します。本記事では、ANCとPNCそれぞれの仕組みや特徴、使い分けのポイントについて詳しく解説していきます。
結論:ANCは騒音環境に強く、PNCは手軽に使える静音対策
結論から言うと、ANC(アクティブノイズキャンセリング)は周囲の騒音を電子的に打ち消す仕組みを持ち、騒がしい環境下でも静寂を作り出すのに非常に有効です。一方で、PNCは物理的に耳を覆って遮音する方法で、電源や技術に依存しない分、簡易かつ安価に静音効果を得ることができます。
アクティブノイズキャンセリング(ANC)とは?
ANCとはActive Noise Cancelling(アクティブノイズキャンセリング)の略称で、外部の騒音をマイクで拾い、それを打ち消す逆位相の音波を生成して耳に届けることで、ノイズを軽減する仕組みです。この技術は、飛行機や電車など、継続的に発生する低周波の騒音に特に効果を発揮します。
近年では、イヤホンやヘッドホンに搭載されるANC技術が高度化しており、風切り音のような環境音にもある程度対応可能になっています。また、フィードフォワード方式、フィードバック方式、ハイブリッド方式など複数の実装方式があり、それぞれ音の処理方法に違いがあります。ハイブリッド方式はその両方の長所を取り入れた高性能なモデルとして人気です。
実際、アクティブノイズキャンセリングの性能は製品によって大きく異なります。本当に雑音がスッと消えるような高性能モデルもあれば、雑音がわずかに軽減される程度のものまで幅広く存在します。そのため、ANCイヤホンを購入する際は価格だけで判断せず、ノイズキャンセリング性能のレビューや評価をしっかり確認することが重要です。安価な製品では効果が限定的な場合も多く、結果として満足度が低くなることもあるため、慎重な選択をおすすめします。
筆者おすすめのノイズキャンセリングイヤホンはこちら!
・ノイキャンの原点、BOSEの最強ノイズキャンセリングイヤホンQuietComfort Ultra Earbudsがすごい!~2年間使い続けてきたレビューと他製品に乗り換えないワケとは?~
パッシブノイズキャンセリング(PNC)とは?
PNC(Passive Noise Cancelling)は、ノイズキャンセリングというよりも“遮音”の手法に近く、イヤーピースやヘッドホンのパッドが耳に密着することで、物理的に外音を遮断します。耳栓のような効果をイメージするとわかりやすいでしょう。
PNCは電源が不要で価格も安価なため、誰でも簡単に取り入れられるのが魅力です。また、高周波の突発的なノイズ(人の声やドアの開閉音など)に対してはANCよりも効果的である場合もあります。
パッシブノイズキャンセリングとは、言ってしまえばただの密閉型イヤホンのことなのです。
イヤホンの密着度を上げるにはイヤーピース選びも重要です!
おすすめのイヤーピースについてはこちらの記事で解説しています。
・【レビュー】熱可塑性イヤーピースとは?耳にフィットして疲れにくいAzlaイヤーピースを実体験レビュー
ANCとPNCの違いを表で比較
特徴 | ANC(アクティブ) | PNC(パッシブ) |
---|---|---|
ノイズ除去の方法 | 電子的に音を打ち消す | 物理的に遮音する |
効果的なノイズ帯域 | 低周波(エンジン音、空調音など) | 高周波(話し声、環境音など) |
電源の有無 | 必要 | 不要 |
製品価格 | 高価(高機能モデルに搭載) | 比較的安価 |
装着感・快適性 | モデルにより差がある | フィット性に依存 |
用途に応じたおすすめ | 交通機関・屋外作業・オフィスの騒音対策 | 手軽な静音・コスト重視・通話用途など |
使用シーンに合わせた選び方
騒音が常にある環境(電車や飛行機、オフィスの空調音など)では、ANC搭載モデルが非常に効果的です。音楽やポッドキャストに集中したいときにも、ANCは周囲の雑音を除去してくれるため没入感が増します。
一方、コストを抑えたい場合や、あまり騒音が気にならない静かな環境で使用するならPNCで十分です。特にイヤーピースのフィット感に優れるモデルであれば、外音をしっかり遮断できます。
まとめ:ANCとPNCの違いを理解して最適な選択を
ANCとPNCはどちらも「音を静かにする」という目的は同じですが、そのアプローチは大きく異なります。ANCは技術的に高度な処理を行い、低周波の騒音に強いのが特徴です。一方でPNCはシンプルで手軽に静音効果を得られる方法です。
使う環境や用途、予算に応じて適切な方式を選ぶことで、より快適なリスニング体験や作業環境を実現できます。イヤホンやヘッドホンを選ぶ際には、ぜひこの違いを参考にしてください。