ゲーミングイヤホンをワイヤレスにしたいと思っても、「FPSで音が遅れないか」「長時間プレイ中にバッテリーが切れないか」が気になる方は多いのではないでしょうか。
一般的なBluetoothイヤホンは便利ですが、ゲームでは映像と音のズレが気になることがあります。また、バッテリー性能が低い製品では、プレイ中に充電が必要になる可能性もあります。
SONYの「INZONE Buds」は、専用USBトランシーバーによる低遅延接続と、最大12時間の連続使用に対応したゲーミングワイヤレスイヤホンです。FPSで使っても遅延が気になりにくく、イコライザーやノイズキャンセリングもゲーム以外の用途まで考えられています。
結論として、INZONE Budsは、ケーブルなしでFPSを快適にプレイしたい方や、充電を気にせず長時間ゲームを続けたい方に向いています。 一方、USB Type-C端子のないデスクトップPCを使っている方や、一般的なBluetoothイヤホンとして幅広い端末に接続したい方は、購入前に接続環境を確認する必要があります。


INZONE Budsはゲーム向け機能を詰め込んだ完全ワイヤレスイヤホン
INZONE Budsは、SONYのゲーミングブランド「INZONE」から発売されている完全ワイヤレスイヤホンです。型番は「WF-G700N」で、付属のUSB Type-Cトランシーバーを使った2.4GHzワイヤレス接続と、LE Audio接続に対応しています。
主な仕様は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 接続方式 | 2.4GHzワイヤレス接続、LE Audio |
| USBトランシーバー | USB Type-C |
| ドライバーユニット | 8.4mm ダイナミックドライバーX |
| 通信遅延 | 30ms未満 |
| バッテリー | 最大12時間、ノイズキャンセリング使用時は最大11時間 |
| 急速充電 | 5分の充電で約1時間使用可能 |
| ノイズキャンセリング | 対応 |
| 重量 | 片耳約6.5g、グラスパープルは約6.7g |
USBトランシーバー接続時は、ノイズキャンセリングをオフにすると最大12時間、オンにしても最大11時間使用できます。充電ケースでの再充電を含めると、合計約24時間使用可能です。

FPSでも音の遅延が気になりにくい
ワイヤレスイヤホンをゲームに使ううえで、最も気になるのが音の遅延です。
FPSでは銃声や足音が聞こえるタイミングが遅れると、敵の位置を判断するうえで不利になります。映像ではすでに撃たれているのに、音が後から聞こえてくるようでは、ワイヤレスの便利さどころではありません。
INZONE Budsは、付属のUSBトランシーバーを使用した2.4GHz接続に対応しており、SONYの公称遅延は30ms未満です。Bluetooth経由ではなく、ゲーム向けの専用無線接続を使うことが低遅延につながっています。
実際にFPSで使用した範囲では、銃声や足音が遅れて聞こえるような違和感はほとんどありませんでした。有線イヤホンと数値上まったく同じとはいえませんが、通常のプレイ中に遅延を意識する場面は少なく、ワイヤレスであることを忘れてゲームに集中できます。
「Bluetoothイヤホンでは遅延が気になったけれど、ケーブルには戻りたくない」という方にとって、INZONE Budsの2.4GHz接続は大きなメリットです。
最大12時間のバッテリーで長時間プレイしやすい
INZONE Budsのもう一つの強みが、ゲーミング完全ワイヤレスイヤホンとして長いバッテリー駆動時間です。
USBトランシーバー接続では、ノイズキャンセリングをオフにした状態で最大12時間、オンにした状態でも最大11時間使用できます。さらに、5分間の充電で約1時間使える急速充電にも対応しています。
SONYは発売時の2023年9月時点で、この最大12時間という性能をUSBトランシーバー搭載完全ワイヤレスヘッドセット市場における「業界最長」と案内していました。現在販売されているすべての製品の中で最長とは断定できませんが、ゲーム用ワイヤレスイヤホンとしては現在でも長時間使用に向いた性能です。
一般的なゲームセッションであれば、プレイ中に何度も残量を確認したり、途中で充電ケースに戻したりする必要はほとんどありません。休日に長時間ゲームをする方や、ゲームから動画視聴まで続けて使う方にとって、このバッテリー性能は大きな安心材料になります。
しかも、ノイズキャンセリングをオンにしても公称値で最大11時間です。静かな環境とバッテリーのどちらかを大きく犠牲にしなくてよい点は、INZONE Budsの完成度の高さを感じる部分です。
イコライザープリセットはゲーム以外にも使いやすい
INZONE Budsは、Windows向けソフトウェア「INZONE Hub」からイコライザーを設定できます。
実際に使って便利だったのは、FPSやRPGだけでなく、音楽や映画など、用途に合わせたプリセットへすぐに切り替えられることです。
FPSでは足音などの細かな情報を確認しやすい設定、RPGでは環境音やBGMを楽しみやすい設定というように、ゲームのジャンルに合わせて変更できます。ゲームを終えた後に音楽を聴いたり、映画を見たりするときも、その場面に合ったプリセットを選択できます。
最初から用意されたプリセットを選ぶだけなので、周波数帯を一つずつ手動で調整する必要はありません。
もちろん、自分で細かく音を追い込みたい方はカスタム設定も利用できます。INZONE Hubではイコライザーのほか、ゲーム音とチャット音声のバランス、立体音響、ノイズキャンセリング、マイク音量なども調整可能です。
設定に詳しくない方はプリセットを使い、慣れてきたらカスタム設定を試すという使い方ができます。高機能でも最初からイコライザー沼に放り込まれないのは、地味ながらうれしいポイントです。
ノイズキャンセリングでエアコンや扇風機の音を抑えられる
INZONE Budsにはアクティブノイズキャンセリング機能が搭載されています。
実際に使用すると、エアコンや扇風機のように一定の低い音が続く環境では、周囲の音がかなり気になりにくくなります。完全な無音になるわけではありませんが、ゲーム内の小さな足音や環境音へ意識を向けやすくなりました。
SONYのヘルプガイドでも、ノイズキャンセリングは乗り物の騒音や室内の空調音などの環境ノイズを低減する機能として説明されています。
特に夏場は、エアコンやPCの冷却ファンを止めてゲームをするわけにはいきません。室温と引き換えに足音を聞き取る必要がなくなるため、実用性の高い機能です。
左側のタッチセンサーから、ノイズキャンセリングと外音取り込みを切り替えられます。ゲーム中はノイズキャンセリング、家族から声をかけられそうなときは外音取り込みと、イヤホンを外さず切り替えられるのも便利です。
軽量設計は長時間使用との相性がよい
イヤホン本体の重量は片耳約6.5gで、耳との接触面で本体を支える形状が採用されています。SONYは、耳の複雑な凹凸に干渉しにくく、圧迫感を軽減する設計と説明しています。
ヘッドセットと違って頭頂部や側頭部を圧迫しないため、長時間使用時に髪型が崩れにくく、メガネとも干渉しにくいのが完全ワイヤレス型のメリットです。
ただし、イヤホンの装着感には耳の形やイヤーピースとの相性が影響します。付属イヤーピースはSS、S、M、LLの4サイズなので、ノイズキャンセリングが弱い、低音が少ない、耳が痛いと感じる場合はサイズを変更してみてください。
USB Type-CトランシーバーはデスクトップPCで要確認
INZONE Budsで特に注意したいのが、専用トランシーバーの端子です。
トランシーバーはUSB Type-Cなので、デスクトップPCにUSB Type-C端子がない場合、そのままでは接続できません。USB Type-A変換アダプターを使いたくなるところですが、SONY公式は、パソコン接続時にUSB Type-A変換アダプターを使用せず、USB Type-C端子へ直接接続するよう案内しています。
そのため、USB Type-AしかないデスクトップPCでは、「変換アダプターを購入すれば必ず解決する」と考えない方が安全です。
購入前にPCのUSB Type-C端子を確認し、端子がない場合はUSB-Cポートの増設なども含めて検討する必要があります。付属するUSB-A-USB-Cケーブルは充電用であり、USB Type-A変換アダプターではありません。
ノートPCやPS5など、接続しやすい位置にUSB Type-C端子がある環境では問題になりにくいものの、USB Type-A中心のデスクトップ環境では大きな注意点です。

稀に接続が不安定になることがある
普段は安定して使えますが、使用中に稀に音が途切れたり、接続が不安定になったりすることがありました。
常に発生するわけではないためゲームにならないほどではありませんが、対戦中に起きると気になる部分です。2.4GHz帯はWi-Fiやほかの無線機器でも使用されているため、PC周辺の電波環境やUSB機器の配置によって影響を受ける可能性があります。
SONYのヘルプガイドでも、無線LAN、電子レンジ、ほかの無線機器、USB 3.0対応機器やケーブル、金属製品などが音切れの原因になる場合があると案内されています。
接続が不安定な場合は、次の方法を試してください。
- USBトランシーバーを別のUSB Type-C端子へ差し直す
- USB 3.0機器やケーブルからトランシーバーを離す
- PCとイヤホンの距離を近づける
- INZONE Budsのソフトウェアを最新版へ更新する
- イヤホンをリセットする
公式サポートにも接続切断時の対処方法が用意されており、再起動、リセット、初期化、ソフトウェア更新などが案内されています。

一般的なBluetoothイヤホンとは対応範囲が異なる
INZONE BudsはUSBトランシーバーだけでなく、BluetoothのLE Audioにも対応しています。
ただし、SBCやAACなどの従来型Bluetooth Classicには対応していません。接続するスマートフォンやタブレットがLE Audioに対応していない場合、通常のBluetoothイヤホンと同じ感覚では接続できない点に注意が必要です。
PCやPS5で専用トランシーバーを使うことが中心なら、大きな問題にはなりません。一方、通勤中はスマートフォン、帰宅後はPCというように、一般的なワイヤレスイヤホンとして幅広い端末で使いたい方は、手持ちの機器が対応しているか確認してください。
INZONE Budsが向いている人と向いていない人
INZONE Budsが特に向いているのは、FPSで遅延を気にせずワイヤレスイヤホンを使いたい方です。最大12時間のバッテリーがあるため、長時間ゲームをする方や、充電回数を減らしたい方にも向いています。
イコライザーを一から設定するのが面倒な方にもおすすめです。FPS、RPG、音楽、映画など、用途に合わせてプリセットを切り替えられるため、細かい知識がなくても使い分けられます。
また、エアコンや扇風機、PCファンなどの環境音が気になる方にとって、ノイズキャンセリングは大きなメリットになります。
反対に、USB Type-C端子がないデスクトップPCを使っている方には、接続環境の確認が必要です。また、接続の安定性を最優先し、わずかな音切れも避けたい方は、有線ゲーミングイヤホンも候補になります。
スマートフォンを含むさまざまな機器へ一般的なBluetooth接続で使いたい方にも、対応範囲の広い別製品の方が向いています。

まとめ|遅延とバッテリーを重視するなら有力な選択肢
SONY INZONE Budsは、ゲーム用ワイヤレスイヤホンで問題になりやすい遅延とバッテリー性能に、正面から対応した製品です。
専用USBトランシーバーによる30ms未満の低遅延接続は、FPSで使用しても音のズレが気になりにくく、最大12時間のバッテリーは長時間プレイにも対応できます。ノイズキャンセリングを使用しても最大11時間というスタミナも魅力です。
FPSやRPG、音楽、映画などに合わせたイコライザープリセットを利用できるため、手動で細かく調整しなくても用途に合った音へ切り替えられます。エアコンや扇風機の音を抑えやすいノイズキャンセリングも、ゲームへの集中を助けてくれます。
一方で、USB Type-Cトランシーバーを使用するため、USB-C端子のないデスクトップPCとは相性がよくありません。稀に接続が不安定になることや、Bluetooth Classicに対応していない点も購入前に確認しておきたいところです。
接続環境さえ合えば、INZONE Budsは「ワイヤレスの快適さは欲しいけれど、遅延やバッテリーでは妥協したくない」というゲーマーに適したイヤホンです。



